「サイトが重い」とご相談をいただくと、最初に出てくるのは「高速化プラグインを入れましょう」という話です。
でも、プラグインを足すほど速くなるかというと、実際はその逆が起きていることが少なくありません。
そもそも、速さは目的ではありません。目的は、そのサイトが果たすべき役割を、きちんと果たすこと。速さは、そのための条件の一つにすぎません。
だからここでは、プラグインを足す前の話をします。原因を見て、不要を減らす。足し算ではなく、引き算で表示速度を整える考え方です。難しい設定の話はできるだけ避けて、「いま何が起きていて、どう考えればいいか」を中心にお伝えします。
目次
1. まず、測る
推測で壁を壊す業者はいません。まず、いまどこが遅いのかを測ります。
無料で使える PageSpeed Insights に、サイトのURLを入れるだけです。どこに時間がかかっているかが出てきます。
ここで大事なのは、表示された総合スコアの点数に、一喜一憂しないことです。見るべきは点数ではなく、「どこが、なぜ遅いのか」という中身のほうです。
Googleは、表示の善し悪しを大きく3つの体感で見ています。
- 主役が映るまでの時間 — ページを開いて、一番大きな画像や見出しが出るまで。遅い原因の多くは画像です。
- 操作への反応 — ボタンを押して、すぐ反応が返るか。重い機能を詰め込むほど鈍くなります。
- 表示中のガタつき — 読もうとした瞬間に、画像や広告が割り込んでレイアウトがずれる、あれです。
点数は「どこに原因があるか」を知る手がかりにすぎません。点数を上げること自体が目的になると、話の筋が崩れます。
2. 足すより、減らす
速度対策というと、何かを足す方向で考えがちです。でも、遅さの多くは「読み込みすぎ」が原因です。まず、減らします。
WordPressは、プラグインを入れるほど、裏側で読み込むファイルが増えていきます。やっかいなのは、使っていないページでも、一律に読み込まれていることがよくある点です。よくあるのは、お問い合わせフォーム用のプラグインが、フォームのない全ページでも読み込まれている、というケースです。
ここで、対処のしかたが2つに分かれます。
- 遅いから、速くするプラグインをもう一つ足す。
- なぜ重いのかを見て、要らない読み込みを断つ。
前者は、不具合を別の機能で覆い隠すやり方です。後者は、原因そのものを取り除くやり方です。同じ「速くなった」でも、後者は再発しにくく、別の不具合も生みにくい。表示速度を「構造から整える」というのは、この後者のことです。
3. 画像を軽くする
遅さの原因で最も多く、そして最も直しやすいのが画像です。
- 表示される大きさに合わせて、縮める。スマートフォンで撮った写真は、そのままだと表示に必要な何倍もの大きさがあります。画面には横800pxで表示している画像に、5000pxの元データをそのまま載せている——これがとても多いです。
- 読み込む順番をつける。1枚のページに画像が20枚あっても、開いてすぐ目に入る主役は1〜2枚です。主役は最優先で先に読み、下のほうの脇役は、スクロールされるまで後回しにする。この順番づけだけで、開いた瞬間の体感は大きく変わります。
- 軽い形式で保存する。見た目はほぼ変えずに、ファイルだけ軽くする「WebP」という形式があります。写真の多いサイトほど効きます。
ここで一つ、よくある取り違えがあります。「とにかく全部の画像を後回しにすれば速くなる」と考えて、一番先に見せたい主役の画像まで後回しにしてしまうケースです。これをやると、肝心の主役が出るのが遅くなり、かえって逆効果になります。後回しにしていいのは、あくまで脇役だけです。
かつては「軽いからアニメGIFを使う」「画像を1枚に結合して読み込み回数を減らす」といった手法が勧められた時期もありました。いまは、どちらも当てはまりません。技術の前提が変わったからです。一昔前の”高速化の常識”が、いまはむしろ遅くする——これは、この分野でよく起きることです。
4. 読み込みの順番を整える
画像の次に効くのが、サイトの見た目や動きをつくっている裏側のファイル(デザイン用・動作用のプログラム)の、読み込み方です。
考え方は画像と同じで、まず要らないものを断ってから、残りの順番を整える、です。
最初の表示に関係のない読み込みが、表示をせき止めていることがあります。それを後ろに回すだけで、「開いてから中身が出るまでの白い時間」が短くなります。ここは設定の領域なので詳細は省きますが、大事なのは順番です。「まとめて速くしてくれる」とうたう古いプラグインに任せるより、何が要らないかを見て断つほうが、事故が少なく、結果も安定します。
5. 一度読んだものは、再利用する
一度表示に使ったデータを、次からは保存したものから見せる仕組みがあります。これを「キャッシュ」と呼びます。二度目以降の表示が速くなります。
ただし、ここは注意も要ります。設定を誤ると、「更新したのに古い表示のまま変わらない」という別のトラブルを生みます。入れたら必ず、表示が正しく切り替わるかまで確認します。
サーバー側では、土台を新しく保つことも効きます。WordPressを動かしているプログラム(PHP)には版があり、古い版は単純に遅く、そして安全でもありません。多くのレンタルサーバーは、管理画面から新しい版に切り替えられるようになっています。
6. 速度は、一度きりの工事ではない
ここまでの手当てで、多くのサイトは目に見えて軽くなります。
ただ、速くしたからといって検索順位やお問い合わせが必ず増えるわけではありません。 速度は、成果に効く条件の一つであって、それだけで結果を約束するものではないからです。
それでも整える価値があるのは、遅さが「取りこぼし」を生むからです。開くのが遅いというだけで離脱する人がいて、その人は多くの場合、二度と戻ってきません。速度は、成果を約束はしませんが、成果の入り口を塞がないための土台です。
そしてもう一つ。一度整えても、また重くなります。 プラグインが増え、画像が積み重なれば、構造はまた歪みます。建物と同じで、建てて終わりではなく、住み続けるかぎり点検が要ります。表示速度も、一度きりの工事ではなく、定期的に構造を見直す対象だと考えてください。
私がサイトを見るときに探しているのは、速さの数字そのものではありません。「どの読み込みが、なぜ表示をせき止めているのか」という、構造のほうです。数値は保証しませんが、原因を特定して、直せるところを直します。
もし、ご自身のサイトを PageSpeed Insights で測ってみて、指摘の意味がわからない、どこから手をつければいいか切り分けられない——そう感じたら、その結果画面のまま持ってきてください。どこが構造の問題で、どこは触らなくていいのかを、一緒に見ます。


